店舗と通販の危険な関係

あなたの店に通販部門はありますか?

通販部門があるなら、必ずしもうまく行っていないのではありませんか?

店が通販をはじめるのはカンタンです。特にインターネットが登場して以降はイニシャルコストは限りなくゼロに近くなっています。

事実、私がいた会社では、ある店が勝手にサイトを立ち上げて、勝手に通販をやろうとして問題になったことがあります。

なぜ、問題になったのかと言うと、既に通販部門があったためです。要は縄張り争いが起こったんです。

店長の言い分はこうです。

私たちの場合、通販サイトを作ることができる人がいる、商品はある、お客はいる、設備はある、機材はある、ランニングコストは安い、とくればできない理由がありません。できるのにやらないのは資源の無駄遣いですよね。

一方で、通販部門としたら「そこのお客は自分たちのものだ」となるわけで中止を求めるのは当然でしょう。

本来なら、店舗と通販、それぞれの長所を融合できたらこれほど強力なシステムはありません。

しかし、多くの会社で、店と通販部門は関係が悪く、それが効果的な連携を阻んでいます。

効果的な連携を阻む最大の原因は、売場の人間の、売上に対する執念です。個人の責任が明白な売場と、曖昧な通販部門の、埋めようがない決定的な違いです。

店舗がある通販部門だと在庫を持つ必要がありません。在庫は店にありますからね。通販で売上が上がったら店に発送を依頼します。

この場合、売上は当然通販部門のものです。店には1円も入りません。店は1円にもならないのに余計な仕事をやらされるわけです。そして、もっとも厄介なサポートも店に廻ってきます。

これが面白いはずがありません。店からすると、通販の奴らは売りっぱなしで、売った責任を果たしていないわけです。

あなたはこんな連中に協力できますか?

自分の店で、自前で通販サイトを立ち上げたくなるのも無理はないと思いませんか?

こうして店舗と通販部門の関係は悪化の一途を辿るわけです。

全国展開をするチェーンストアの通販サイトの実績がイマイチなのも、こんなところに原因があるのかもしれませんね。

     小宮秀一   
  コラム   

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