変えるのは難しい?

「変える」のは難しいと言います。なぜなら、人は変化を好まないし、現状維持は楽だからだそうです。

でも、本当でしょうか? 本当に変えるのは難しいのでしょうか?

と言うのは、変えたい側には伝家の宝刀ともいうべき武器があるからです。

あなたが会社の何かを変えたいとしましょう。たとえば、総務、人事、経理と言った管理部門の機能をアウトソースしたいとします。間接部門の経費を削減できて、余った人間は利益を生み出す現場に配置転換すれば生産性は上がります。雇われ経営者にはともかく、オーナー経営者にとっては悪い提案ではありません。

しかし、このアイデアには、アウトソースされる側から抵抗があるはずです。それも、とてつもなく。

ここで伝家の宝刀を抜くわけです。

「あなたたちが反対するのは会社のため、従業員のためを思ってですか?自分が仕事を失うからじゃないんですか!?」

人が変わりたがらない本当の理由は既得権益があるからです。

この例では、管理部門の人間は反対しますが、理由はカンタン、自分が仕事を失うかもしれないからですね。それを正面から指摘すれば、反対派を黙らせることはできなくても、様子見の人たちを味方にすることができます。これこそが、変わりたがらない連中を打破する定番的な手法なのです。

「変わりたがらないのは、既得権益にしがみついているエゴイストな連中」とイメージ作りができれば、反対派はカンタンに葬り去ることができます。

私はこの手法を使って、自分の思い通りの本店の大改装を実現することができました。私には改装プランを立案する権限も、実施する権限もありませんでしたが、うまく立ち廻って、自分の望む売場を手に入れました。

ただし、この手法を使う際には注意してほしいことがあります。

変えることが正しいとは限らないのです。

実際、私が意図した改装も失敗と言えるかもしれません。私は良くも悪くも普通の店を作ってしまったかもしれないからです。店の個性を殺してまで普通の店にする必要があったのかと今は疑問に思っています。そして、少しだけ責任も感じています。もちろん、改装プランにゴーサインを出したのは取締役会ですけどね。

お客様は、私たちが考えるより保守的なのです。

「ダメだったら元に戻せばいい」とは私もよく口にしました。が、実際にはメンツがあるので元に戻すことは不可能なのです。

くれぐれも、変えるときは慎重に。

     小宮秀一   
  コラム   

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