それがクレームから逃げる、もっともカンタンな方法ですが…。
クレームをはじめとするお客様の声は店作りの貴重な情報です。
したがって、クレームを無視するのは論外ですが、だからと言って、ビビりすぎるのもよくありません。
私が店長だった頃、あるデスクトップPCの売上が全19店舗のトップになりました。
全19店舗はアキバの本店も含んでいます。
本店と私の店では売上は7倍違います。
本店の売上を抜くということは、桁違いの大ヒットということです。
それほどの大ヒット商品にも関わらず、私の店は売るのを止めてしまったのです。
その理由はクレームにビビったからでした。
「クレームがあったので売るのを止めました」
フロアマネージャーから報告がありました。
「売るのを止めた」のは私がアイデアを出したカスタムモデルです。
低価格PCの内蔵CD-ROMを、DVD-ROMに載せ替えたカスタムモデルです。まだ、DVD-ROM搭載モデルが珍しかった頃の話です。
発売2週間で、アキバの本店を超える売上を記録した、私の店の大ヒット商品でした。
ちなみに、アキバとそれ以外の店の売上は桁違いで、本店の売上を越えるのは極めて稀なことでした。
そんな大ヒット商品の販売を「止めた」と、フロアマネージャーが報告してきたのです。
私はカスタムモデルのアイデアを出しただけで、実際に「売る」という判断をしたのはフロアマネージャーです。
だから、売る売らないを決めるのは彼の権限です。私はフロアマネージャーの判断を尊重しました。
しかし、私はこのときの判断をものすごく後悔しています。
クレームの内容は「イジェクトボタンが効きにくい」というモノで、内蔵CD-ROMとDVD-ROMで、イジェクトボタンの位置が少しずれていたことが原因でした。
これ実は、カンタンに解決できる問題なんです。合うDVD-ROMを探してくれば済む話なんです。
だから、フロアマネージャーを説得して、問題を解決して、販売を続けるべきだったのです。
だって、アキバの本店以上に売っていたんですよ。売上のみならず、標準モデルより単価も粗利も高かったんです。
それなのに、なぜ、売ることを止めてしまったのか?
クレームにビビってしまったんですね。フロアマネージャーも私も。
「お客様に迷惑を掛けるから」と口では言っていましたが、自分が迷惑だから止めてしまったんですね。
私があの時、「クレームは全部オレに回せ」と言っていたら…。
「危機と書いて商機と読む」と言いますがクレームも同じです。
クレームはニーズの表れでもあります。ニーズがあるから利用され、満足できないからクレームになるわけです。
間違いなく、そこにニーズはあるのです。
クレームを受けたら、売るのを止めるのではなく、まずは、何が問題なのかを冷静に考えるようにしてください。
私の失敗からのアドバイスです。