諦めが悪いビジネスマンの話

世界70ヵ国に広まる会社は、どうやって成長のキッカケを作ったか?

(出典:ダン・ケネディ)

アメリカの靴業界には、バイヤーが集まるイベントがある。ニューヨークのヒルトンホテルに集まるそうで、そのホテルや周辺にはショールームが常設され、来年のトレンドは何かとバイヤーや業界の有名人、マスコミが集まるそうだ。

そこで、特集されたら一気に売れ始めるわけだが……

当時、ケネスコールさんはショールームやホテルの展示スペースに全く手を出せなかったと話している。

ケネスさん「資金もコネも人脈もない。そんな私はショールームも、展示スペースを確保することはできなかったんだ」

多くの人は、ここで諦めると思う。来年まで待とうとか。

でも、ケネスコールは諦めなかった。

「私には選択肢はなかったが、アイディアはあった」

彼が何をしたのかというと、知り合いのトラック会社に連絡をした。

ケネスコール「ニューヨークのど真ん中でトレーラを置いて、商品の宣伝をしたいんだ。トレーラーを一台貸してくれないか?」

友人「いいよ。でも、ニューヨークのど真ん中で駐車許可を取るのは大変だぞ」

次にケネスさんは、ニューヨーク市に連絡をした。

ケネス「トレーラーを1台マンハッタンのミッドタウンに駐車したいんだけど、どうやって許可を取ればいいんだ?」

市役所の局員「いや、普通はそういう許可を出せない。ニューヨークでは、公益企業か映画プロダクションが撮影目的で停める場合しか駐車許可を出せないんですよ。だから、申し訳ないけど、あなたの場合は、許可できない」

こう言われてしまった。ここで諦める人もいると思う。

それでも、ケネスさんは諦めない。

ケネスさんは文房具屋さんに行った。そこで、会社名をケネスコールから「ケネスコールプロダクション」に変えた。

そして、もう一度市役所に連絡をした。

ケネス「ケネスコール プロダクションだ。映画を撮影したいので、トレーラーをニューヨークに駐車させてもらえないか? 映画名は、『靴会社の誕生』です」

そして、駐車許可が取れた。

マンハッタンのど真ん中にトレーラーを駐車した。大手メーカーのショールームに囲まれて店開きをしたのだ。

でっかいトレーラーの中に家具や照明を備え付けてディレクター、フィルムを入れたカメラ、モデル、女優まで用意した。市役所が好意で貸してくれたドアマンもいたそうだ。

当時のことについてケネスさんはこう回想している。

「私は『ケネス・コール・プロダクション』と横っ腹に書いたトレーラーをマンハッタンに停め、大手メーカーのショールームに囲まれて店開きした。トレーラーの中に家具や照明をつけて、ディレクター、フィルムを入れたカメラ、モデル、女優まで用意した。入口にはベルベットのロープを張って、一度にトレーラーに入れるバイヤーの人数を制限した。業界の大物バイヤーはひとり残らず、うちのトレーラーへやってきた」

これが、ケネス・コール・プロダクションという会社のスタートだ。

彼には、お金はなかったが、あきらめずに行動することで、障害をアイディアで乗り越えた。

今では世界70ヵ国に広まるほどの会社に成長した。

         小宮秀一   
  コラム   

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