立ち位置によって意見が変わるのはよくないことですが…。
「小売は店員の個人能力に頼りすぎ!もっとマニュアル化を進めるべき」
コレ、あるセミナーで大学の先生が言っていたことです。
「工業製品を作るのに個人能力に頼っていたのでは品質が安定しない。小売も同様ではないか?」と言う問題提起でした。
あなたはこの指摘についてどう思いますか?
ちなみに私は自分の立ち位置によって意見が変わってしまいます。一番タチが悪いですが。
店長というか、マネージャーの立場なら賛成です。
私が店長なら売り方をマニュアル化したいです。
売る商品を決め、置く場所を決め、陳列方法を決め、セールストークを作り、練習させ、どのお客様にも同じ売り方をさせたいです。
なぜなら、PDCや仮説検証のサイクルを動かしやすいから。
たとえば、全店員が同じセールストークを使えば、その良し悪しがはっきりわかります。接客の成約率が上がらなければセールストークを改善すればいいわけです。
また、よくできたセールストークなら、下手くそが使ってもそこそこ売れるモノです。
私は能力の低い店員に店の先行きを任せる度胸はありません。それほど私は人間ができていないです。
一方、セールスマンの立場では売り方のマニュアル化には反対です。
私は一流とは言いませんが、そこそこには売れるセールスマンです。一応年間1億円売ったこともあります。
そこそこ売れるセールスマンは自分のやり方を持っているのが普通です。人は慣れたやり方を他人に強制的に変えられるのは耐えられないのです。売り方のマニュアル化には徹底的に抵抗するでしょう。
現場出身の店長はどちらの気持ちもわかるのではありませんか?
ただ、「どちらもわかる」では話が進みません。
なぜなら、売れるセールスマンより売れないセールスマンの方が圧倒的多数だからです。
売れないセールスマンが工作機械なら取り替えればいいんですが相手は人間です。そうカンタンに取り替えることはできません。
しかし、マネージャーとして売れないセールスマンを放置しておくわけにはいかないです。
かと言って、売れるセールスマンがマニュアル通りに接客してくれないとセールストークの良し悪しがわかりません。
下手くそしかマニュアル通りに接客しない場合、売れないのはセールストークなのか、下手くそなせいなのか、見極めができないです。
実は、両者を満足させる方法があります。
売れるセールスマンにセールストークを作ってもらえば万事解決です。たとえあなたがセールストーク作りが得意でもココは我慢です。
売れるセールスマンは得がたい人材です。可能な限り、機嫌を損ねないのが得策です。
あなた一人で売ることはできないのですから。